自虐メソッド

■概要

他人を自分に注目させるための手段として(少なくとも本人にとって)悪い境遇のアピールを利用する手法。単に自虐話をしただけでは注目度が皆無なので、最初に何らかの手段で一定の注目を集め、それから自分語りに移行するのが普通。自分は周囲の人間からもっと良い扱いを受けていいはずなのに、不当に悪い扱いを受けている、という意識が根底にある。強い自己顕示欲、自己愛、演技性を伴う。

効果的に自虐メソッドを運用するには、手持ちの好材料は十分に少ない必要がある。他人から見て取り立てて不遇とは言えない状況にある場合、「これを悪環境と表現するのは現在周囲にいる人たちに対して失礼」「自分を過大評価しすぎ」といったカウンターの威力が上昇するため、不利な状況を招きやすい。

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■展開の類型

A. 注目

メソッドの実行によって特別視される事に成功する。しかし具体的に救済しようという人物は現れず、見世物として遠巻きに観察される。他人が自分を注目している、誰かが自分に嫉妬している、等と思える時は幸福を感じ、一時的に症状が治まるが、短期間で幸福感は消え去り、症状が復活する。これを何度も繰り返す。また、時間の経過と共に演技がエスカレートして行く。「注目を集める」という目的は達成されているので、本人としては悪くない状態だと感じる。

B. 救済失敗とループ

悪い境遇から積極的に救済しようという人物が現れる。メソッド使用者はそれを救世主と見なし、最高の評価を与え、要求を肥大化させ、強く依存しようとする。しかし多くの場合、そこまで深く関わる気がない、同情心で関わったが長続きしない、予想以上に依存が強くて嫌になった、等の理由でこの関係は破綻する(しない場合、それはそれで解決)。その結果、救済者に対する評価は「最高」から「最低」に反転する。さらにこの事自体が新たな自虐材料として取り込まれ、「注目」段階からループを繰り返す。

C. 放置と終了

注目していた人々が徐々に飽き、注目度を下げて行く。その結果、メソッド使用者はこれ以上実行を続けても成果が得られないと判断し、メソッドの使用を停止する(ただし大元の原因である「自分はもっと良い扱いを受けていいはず」という考え方が変わるわけではない)。