倖田茶番劇場

1.
週末のワイドショーで倖田來未羊水発言の話題が出た時、番組は「現代の歪み」と称し、火元として2chを糾弾した。とはいえ、ワイドショーと2chは本質的に同じ物であるため、これを単純に悪として叩けばそれは単なる自殺行為に終わる。そこでこれら2つを分かつ物として「匿名性」を用いた。ワイドショーやスポーツ新聞の倖田叩きは匿名ではないので綺麗な叩き、2chの倖田叩きは匿名なので汚い叩き、というわけだ。

2.
スタジオには司会者以外に3人の人間がいた。1人目の中年男は「どのメディアも倖田を叩く方向で統一されているのが気に入らない。スポーツ新聞もワイドショーもそうだが、似たようなコメンテーターを並べて全員に同じ事を喋らせても意味がない」と語った。そこまでは良かったのだが、残り2人が2chを叩く趣旨の話を始め、その後この中年男が「匿名で他人を攻撃するのは卑怯」と尻馬に乗った。結果としてスタジオ全体は「2chが悪い」というたった一つの意見で統一された。つまり彼は、奇しくも己が批判した「場の全員が同じ事を言う」という状態を、自分自身の手で発生させる事になった。