ニコ動から寄付の依頼が来た

ニコ動向けの、プレミアム会員登録の依頼が来た。有名Pが主催する、「無料で動画を見ていいのは小学生までだよね」的な寄付のお願い。
今の「お願い」は良くできていて、プロパガンダの技術がきちんと援用された、読んだ人の「行動」を促す内容になっていた。

人格攻撃の原理

「ユーザーアピール」のページには、Pからの「贈りもの」が貼り付けられている。
「無料で見るのは十代まで」「500円で世界が変わる」といった文面が印字されたバナーが3枚、「大人ならとっととプレミアム会員になろう」なんて書かれた本文と一緒に置かれている。
ニコ動のマークが小さく入った、実用的に使っても、白っぽいページなら全然違和感の無いようなもの。ツールがあれば30秒ぐらいで作れるけど、「十代宛」で、「すこしだけ人格攻撃」というのが、よく考えられている。
それがどんなにいい加減なものであっても、「人間として問題がある」と言われてしまうと、人は不愉快な気分になる。
プレミアム会員登録だとか、その人に何かの行動を促すときには、「人格攻撃」というのは、その第一歩になる。

事象の個人化

ニコ動には今、有料会員が何人いるだとか、ユーザーアピールの文面には、そんな統計のお話しが出てこない。
「○○郡の○○さん33歳の日課は、朝5時に目を覚まして、アクセスランキングをチェックするところから始まります。彼はこうした仕事を通じて、どういう動画がアクセスを稼げるかを研究しています…」なんて、ニコ動で苦労してアクセスを稼ぎながら、恥も外聞もなく流行のジャンルに便乗する等の努力が足りなくて、再生数3桁のまま放置されたりしている弱小作家の風景が4人分、A4の紙一枚に書かれている。
だいたい1分以内ぐらいに読める程度の文章を読んで、なんだか4人分の人生を背負った気分になる。
「問題の個人化」が為されると、行動の閾値は下がる。
このあたりを、「ニコ動が置かれている現状について」なんて、統計を駆使して、アルファブロガーに上から目線で説明されても、それは小飼弾に過ぎない。小飼弾に説明される限り、たぶん行動する気はおきない。

嫌儲に出来ること

わずかな寄付を行ったところで、数億人単位でいるであろう、弱小作家の状況を変えることなんてできない。プレミアム会員登録が嫌な人は、「最近見てない」とか、「アニメ本編がないから無価値」とか、いくらでも言い訳できて、有料会員は集まらない。
うちに届いた「お願い」にも、「500円寄付していただければこんなことが出来ます」なんて、100円単位で用途が詳しく書いてあれば良かったけど、「動画作者への還元も期待できる」「ユーザー提案のプロジェクトに出資させることだってできるだろう」「わずかな出資ですべてうまくいく」とか、漠然とした事しか書かれてなかった。
「自分がプレミアム会員になったところで、ニコ動の現状を変えることはできない」なんて、話を大きくして支払いを回避する人達は、こういう文章を読んでしまうと、「要するに自分は嫌儲なのだ」という事実をますます認めなくなる。
「500円ぐらいの支払いでは何も変わらない」なんて言って断る人に、「大人ならプレミアム」なんて返しても、「wwww」「つまんね」「こいつ誰?」で終わってしまう。そういう人はたいてい、20歳以下の学生で、金を稼ごうとする奴は汚い、金は親から無限に沸いてくる、と思っている。

手紙が付いてきた

問題なのが最後。
「○○さんへ」なんて、やっぱり自分の名前が印字された便せんに、代表者からの、個人的なメッセージが付いてきた。現状を訴えて、プレミアム会員の必要性を訴えて、「あなたの助けをいただきたいのです」なんて、手紙をもらった人を行動させる、最後の一押しをになうメッセージ。
で、この代表者がまた「菊川 怜」になっていて、彼女の写真が印刷されてた。さすがに「また菊川オチかよ!もういいよ!」なんて突っ込みが入って、目が覚めた。これは大失敗だと思う。

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via
http://njb.virtualave.net/web/nico/nico.htm
http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/archives/149
http://anond.hatelabo.jp/20081209232000